道行千本桜
先日、お友達のなおこさんが来阪されました。
実はなおこさん、最近人形浄瑠璃・文楽に興味をお持ちです。普段は東京公演を見に行かれるのですが、今月は大阪で国立文楽劇場開場25周年の記念公演が行われるということで、特別に大阪までいらっしゃることになったのでした。
この記念公演の演目が素晴らしくて、朝一番の「寿式三番叟」で始まり、その後一日かけて「義経千本桜」の初段から四の段まで通しで演じられます。これってワタクシの好きな出し物ばっかりじゃないですか!というわけで、ワタクシも見てみたくて、なおこさんとご一緒させていただくことにいたしました。
この演目は25年前の同劇場こけら落とし公演と同じものだそうです。内容も華やかでおめでたい「三番叟」と名作「千本桜」、25年目の記念にぴったりの演目だと思います。一応昼の部・夜の部と分けてはいますが、やはりこれは通しで見ないわけには行かないよね?休憩を挟みながら朝の11時から夜の9時過ぎまでぶっとおしで鑑賞です(笑)。
開幕。拍子木が鳴り、口上が述べられるともう気持ちがわくわくです。なんでこんなにときめくの?と自分でも不思議に思うくらい邦楽の舞台が好きです。生の文楽を見に行くのはこれが初めてなんですが、自分の気持ち的には義太夫6・人形4くらいの割り合いで楽しもうかと思っておりました。が、人形の踊りが楽しいのなんのって。
人形が踊る三番叟が想像していた以上に上手でびっくり(失礼なw)。飛んだり跳ねたりするにぎやかな踊りですが、振り付けは人間が踊る踊りとおんなじだし、後ろで人形遣いさんたちが一緒に足を鳴らしたりするところなどなかなか細かいなと感心しました。見ているうちに自分も一緒に踊りたくなって仕方がありませんでしたよ~三人がかりであんなに綺麗に人形に踊らせるのは相当難しいのでしょうな。あー自分で踊る方が絶対楽だ(笑)。
語りと三味線も素晴らしいの一言です。普段目にする浄瑠璃は歌舞伎の舞台が殆どで、大抵は一人の太夫と三味線で各場演じられるものですが、この三番叟はずらずらっと総勢14人が並び、裏でお囃子も加わるため、まるで長唄の舞台を見ているようでした←文楽ビギナーなので変なこといってたらすみません(笑)。見た目は長唄みたいなんだけど、音が出たとたんその違いにはっとしました。長唄の軽やかさのかわりに重い太棹の響きとうねりのような独特の発声が波のように押し寄せてきて、ずっと聴いていると呪術的なトランス状態に入ってしまいそう(笑)。圧巻でした。
「義経千本桜」もよかった。皆さんご存知のとおり、ワタクシの好きな場面は「稲荷の段」と「四の段」なわけで、まぁぶっちゃけキツネが出てくるところですよね(笑)。「小金吾」や「すしや」の三の段は正直重くて辛かったりすることがあるんですが、今回の語りは素晴らしかったです。
特に「すしやの段」は絶品。切り場の竹本住太夫はもちろん、あとの千歳太夫の語りにもぐいぐい引き込まれるー!それから「椎の木の段」松香太夫の語るいがみの権太の憎ったらしいことといったら(笑)。結果、全段通して一番のめりこんで聞いていたのが三段目だという事実。知らず一生懸命聞こうとしている自分に気が付き、はっとする瞬間。実はワタクシこっそり泣いてたりしてたんですがw、見ると周りのお客さんも泣き率が高くて、ああワタクシだけじゃなかったんだとほっとしました(笑)。たしかに三段目は泣かせる話ではあるんだけど、でも語りが上手くないとなかなかのめり込めないものですし。絶品でした。
そして最も華やかな四の段。桜の季節に(当日は4/11で、まだ桜が楽しめました)初音旅を見る幸せ。舞台の上は吉野山の満開の桜、そして踊る静と狐忠信。幸福の絶頂のような舞台ですな。あー一緒に踊りたい(悶)。
吉野桜の下で静御前と忠信が共に踊る場面は「千本桜」の中でも屈指の名場面ですが、この溢れんばかりの幸福感を楽しむ一方で、今を盛りと桜吹雪が散る中での道行はその後訪れるであろう義経の悲劇を予感させて大変せつない場面でもあるのですよ。華やかなんだけどなにか物悲しさが胸を打つ、「初音旅」を見るたびいつもそう感じます。
最後は狐忠信が自らの正体を明かす場面。源九郎狐の登場は歌舞伎でも様々な趣向を凝らしていますが、ワタクシ今回「鼓抜け」というのを初めて見ました。床に置かれた鼓の皮を狐(の人形)が破って通り抜けていくケレンなのですが、これはすごくおもしろいー!これは人形でしか出来ない技ですな(人間では無理www)。
その昔雨乞い祈願のために作られた初音の鼓。実は張られた皮は源九郎狐の両親のもので、子狐は親のそばで過ごしたい一心から忠信に化けて静の護衛を務めていたのでした。哀れに思った義経は鼓を狐に与え、狐は喜んで天に帰っていきます。いつ見ても心がじんわり温かくなる話,、日本が誇っていいファンタジーです。
長時間の鑑賞で正直お尻が痛くなりましたが、これだけ充実したプログラムを見られる機会はめったにないことですし、本当に大満足の1日でした。演目も素晴らしかったのですが、さらにかっこいいイケメン太夫なんかも発見できたりして文楽を見る楽しみがぐぐんと増えそうな予感が(こらこらw)。
なおこさん、誘ってくれてありがとう~また行こうね♪
そして翌日はというと…(続くのですw)














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